|
【作品分析】
(1)主人公の性格特性
主人公、弄内洋太は高校1年生。過去に女の子にひどいふられ方をされ、それ以降恋愛に対して臆病になっている洋太は、好きな人ができてもなかなか告白できない。「モテナイヨーダ」とクラスメイトから冗談でからかわれるような彼は、必死に「もてる男」を演出するものの、たいていドジを踏んで失敗してしまう(図3-9-2)。
そんな洋太がひそかに思いを寄せる相手は、同級生のもえみという美少女である。ある日、勇気を振り絞ってもえみに告白しようと決意した時、もえみの口から自分は貴志のことが好きで悩んでいると打ち明けられ、洋太はショックを受ける。しかし、「キズついてるのはオレの方じゃないかっ・・・!」と心の中では思いつつ、その場では「あきらめんなよ!」「ガンバレよっ!!」ともえみを必死に励ました。
洋太は、「ピュア」で「やさしい」少年として描かれている。彼が不思議なビデオレンタルショップ「GOKURAKU」に入ることができたのも、「ピュア」な心の持ち主だったからだ。もえみから恋の悩みを打ち明けられ、本当は傷ついているにもかかわらず、洋太は笑顔でいつも一生懸命もえみを励ましている。そして、一人になった時涙を流して落ち込む。「GOKURAKU」の店員であるおじいさんが言うように、彼は「自分の方がキズついているのに」「他人を想って涙するようなピュア<純粋>な心の人間」なのである。
洋太は、もえみが男に襲われそうだ予感すれば、もえみの彼氏は自分ではなく貴志であっても、嵐の中助けに向かう。また、あいが「ビデオガール」ではなく「人間」になれる可能性があると知れば、彼女のために命懸けで「ビデオガールの追跡者」に立ち向かい、あいが自分の目の前から消えた時は、ボロボロになりながら一週間ずっと街を探し歩く。
あいはビデオガールとしては不良品だとされ、「ビデオガールの追跡者」から追われる身となり、一度は記憶を失うことさえあった。そうしたあいの境遇をなんとか救おうと、洋太は自分なりに精一杯「ビデオガールの追跡者」と戦ってあいを守ろうとする。そうした洋太のひたむきな姿、他人のために一生懸命になれるところが、周囲の人々の心を惹きつけているのである。
また、洋太には絵本作家になりたいという夢がある。コンクールに応募するため、色塗りをあいに手伝ってもらったところ、落選したものの色塗りを高く評価され、絵本を描いてみないかと出版社から依頼を受ける。しかし、次回作を描く時はあいがいなかったため、上手くいかず一度は挫折する。しかし、最終話でついに洋太は自分の力で絵本を完成させる。
この作品では、単行本14巻から登場人物を変えての新シリーズがスタートする。そこでは、大人になった洋太が絵本作家になっており、副業として絵の塾を開いている。洋太は生徒のちょっとした心の変化に気づき、相談相手となってくれる優しい先生として描かれているが、「先生」と呼ばれることを嫌っている。そして、大人になった洋太にはもう「GOKURAKU」を見ることはできない。「ピュアなだけでは世の中渡っていけんじゃろうて」「大人になったという事じゃな・・・」という、「ネオGOKURAKU」のおじいさんのセリフがあるように、洋太は寂しく感じながらも、大人になれば「ピュア」な心で生きていられないという現実を受け入れることとなる。

「目次」へ戻る
サイトTOPへ
|